退去立会いのチェックリスト|部屋・部位ごとの確認ポイントと当日の流れ

公開日:更新日:ヘヤログ編集部(株式会社ESONE)

退去立会いは、敷金精算の根拠となる事実を記録する場です。確認漏れや記録不足があると、後から「そんな傷はなかった」「最初からあった」といった食い違いが起きやすくなります。国土交通省ガイドラインの「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」をもとに、部屋・部位ごとの確認ポイントと当日の流れをまとめました。

1立会いが重要な理由

ガイドラインは、原状回復をめぐるトラブルの大きな原因として、入居時・退去時の物件の確認が不十分であることを挙げています。居住用の賃貸借は長期にわたることが多く、当事者の記憶だけでは損耗の箇所や発生時期があいまいになりやすいためです。

そのため、入居時・退去時にチェックリストを作成し、部位ごとの損耗等の状況や原状回復の内容について、当事者が立ち会ったうえで十分に確認することが必要とされています。チェックリストなどは、後日トラブルが訴訟等に発展した場合でも証拠資料になりうるとされています。

2事前準備チェックリスト

準備するもの目的
賃貸借契約書・特約・重要事項説明書原状回復の条件、クリーニング費用などの特約、鍵の本数を確認
入居時の確認リスト・写真入居前からあった損耗との区別。交換年月(経過年数の基準)の確認
間取り図損耗箇所を図に記入し、場所の認識違いを防ぐ
単価表・過去の見積概算を伝える場合の目安(確定は見積後)
カメラ(スマホ)・メジャー・ライト全景・近景の撮影、傷の大きさの記録、暗所の確認
立会い確認書(署名欄つき)確認した事実を双方で記録する

入居者さまには事前に、立会いの所要時間、鍵をすべて持参すること、家財の搬出と通常の清掃を済ませておくことを案内しておくと、当日の確認がスムーズです。

3当日の流れ

  1. 挨拶と進め方の説明確認する範囲、記録の方法(写真・確認書)、費用は見積後に精算書で案内することを伝えます。
  2. 入居時の記録を共有入居時の確認リストや写真を示し、入居前からあった損耗を先に確認します。
  3. 玄関から順に部屋・部位ごとに確認一方向に回ると漏れを防げます。損耗があれば、その場で写真を撮り、場所・状態・大きさを記録します。
  4. 設備の動作確認給湯、換気扇、エアコン、照明、水回りの排水などを確認します。
  5. 鍵の返却と本数の確認契約時に渡した本数と照合します。
  6. 確認内容の読み合わせと署名記録した損耗箇所を読み上げ、事実の確認として双方が署名します。負担区分や金額は、見積を取ったうえで精算書で説明する旨を伝えます。

立会いの場で負担割合や金額の合意を急ぐと、後から撤回を求められる原因になりがちです。当日は「何があったか」という事実の記録に集中し、負担区分の判断は見積と根拠がそろってから行うのが安全です。

4部屋・部位別の確認ポイント

ガイドラインの確認リスト(例)の場所・箇所をもとに、見るべきポイントと、別表1に照らした判断の目安を整理しました。判断の目安は一般的な例示で、実際の区分は損耗の程度や契約内容によって異なります。

玄関・廊下

箇所確認ポイント判断の目安(別表1等)
天井・壁・床引越作業によるキズ、へこみ、汚れ引越作業で生じたひっかきキズは借主負担となることが多い
玄関ドア・鍵ドアのキズ・へこみ、鍵の返却本数鍵の紛失・破損は借主負担(シリンダー交換)。紛失のない交換は貸主負担
チャイム・下駄箱・照明器具・郵便受け動作、破損、扉の外れ寿命による故障は貸主負担。用法違反による毀損は借主負担となることが多い

台所・食堂・居間

箇所確認ポイント判断の目安(別表1等)
天井・壁油汚れ・スス、冷蔵庫裏の黒ずみ、くぎ穴・ネジ穴手入れが悪くススや油が付着した場合は借主負担となることが多い。冷蔵庫後部の電気ヤケは通常損耗
床冷蔵庫下のサビ跡、家具のへこみ、シミサビを放置し床を汚損した場合は借主負担となることが多い。家具の設置跡は通常損耗
流し台・戸棚類キズ、破損、扉の動作設備。借主負担の場合は流し台の耐用年数5年を考慮
換気扇・電気/ガスコンロ油汚れ、すす、動作清掃・手入れを怠った結果の汚損は借主負担となることが多い
給湯機器・給排水設備動作、水漏れ、排水の詰まり機器の寿命による故障は貸主負担

浴室・洗面所・トイレ

箇所確認ポイント判断の目安(別表1等)
天井・壁・床・ドアカビ、水垢、キズ清掃・手入れを怠った結果の水垢・カビは借主負担となることが多い
浴槽・風呂釜・シャワーひび、破損、動作破損のない取替え(次の入居者確保のため)は貸主負担
洗面台・便器・水洗タンクひび割れ、欠け、水漏れ借主負担の場合は給排水・衛生設備の耐用年数15年を考慮
洗濯機置場・照明・換気扇・タオル掛け・ペーパーホルダー排水口の破損、器具の外れ、動作用法違反による毀損か、寿命による故障かを区別

個室

箇所確認ポイント判断の目安(別表1等)
壁(クロス)画鋲・ピン穴、くぎ穴・ネジ穴、落書き、タバコのヤニ・臭い、結露によるカビ、日焼け画鋲穴・日照による変色・ポスター跡は通常損耗。下地ボードの張替えが必要なくぎ穴・ネジ穴、落書き、喫煙によるヤニ・臭いは借主負担となることが多い
天井照明器具の直付け跡、シミ照明器具用コンセントを使わず直接つけた跡は借主負担となることが多い
床キズ、へこみ、色落ち、シミ・カビ家具の設置跡は通常損耗。飲み物等のシミを放置したカビは借主負担となることが多い
間仕切り・押入・天袋・外回り建具襖・障子の破れ、柱のキズ、網戸・ガラスの破損ペットによる柱のキズは借主負担となることが多い。地震による破損や網入りガラスの自然な亀裂は貸主負担
照明器具動作、破損寿命による故障は貸主負担

その他(設備・屋外)

箇所確認ポイント判断の目安(別表1等)
エアコン動作、水漏れ、臭い、設置用のビス穴借主所有エアコンの設置によるビス穴は通常損耗。内部洗浄は喫煙等の臭いがなければ貸主負担
スイッチ・コンセント・TV/電話端子破損、焦げ、カバーの割れ用法違反による毀損か、寿命による故障かを区別
バルコニー・物干し金具破損、放置物残置物の有無も記録
庭(戸建)雑草の状態草取りが適切に行われていない場合は借主負担となることが多い

場所・箇所は原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)P.4〜5「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」、判断の目安は別表1・別表2を要約。

無料:耐用年数・借主負担額 計算ツール部位を選んで入居日・退去日・補修費を入れると、残存割合と借主・貸主の負担額を試算できます。

5写真の撮り方

6よくあるトラブルと対応

よくあるトラブル原因対応・予防策
「入居したときからあった傷だ」と言われる入居時の記録がない・あいまい入居時に確認リストと写真を残し、退去時に並べて確認する
立会い後に追加の請求をして揉める確認漏れ玄関から一方向に回り、リストで全箇所を確認。「問題なし」も記録
その場で伝えた概算と請求額が違う見積前に金額を伝えた当日は事実の確認に集中し、金額は見積後に精算書で案内する
クロスの部屋全体の張替えを請求して反発される負担単位の考え方の説明不足毀損箇所を含む一面分まで、経過年数を考慮して算定する
クリーニング費用の負担で揉める特約の説明・記載が不十分特約の条項と契約時の説明記録を示す。通常の清掃の実施状況も記録

立会い後の精算書づくりは敷金精算書の書き方と記載項目、負担区分の全体像は原状回復ガイドラインの要点と負担区分で解説しています。

この記事の要点
  • 立会いは、入居時の記録と照らし合わせて「入居後に生じた損耗」を事実として記録する場。
  • 玄関から一方向に、部屋・部位ごとのリストで確認し、損耗がない箇所も記録する。
  • 写真は全景と近景、スケール入り、入居時と同じアングルで。
  • 当日は事実確認と署名まで。負担区分と金額は見積と根拠がそろってから精算書で説明する。
ご注意:本記事は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」等をもとにした一般的な解説で、法律相談や個別案件への助言ではありません。ガイドラインは一般的な基準を示したもので法的拘束力はなく、最終的な負担区分は契約内容(特約を含む)や物件の使用状況などの個別事情により異なります。判断と入居者さまへの説明は管理会社さまの責任で行い、判断に迷う案件は弁護士等の専門家にご相談ください。

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  • 部屋・部位ごとに写真とメモを記録(電波の届かない部屋でも記録できます)
  • 国交省ガイドラインの考え方に沿って、AIが負担区分の候補と理由を提案(最終判断は担当者)
  • 耐用年数・経過年数を反映した負担額を自動計算し、写真と根拠付きの精算書を作成

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出典・参考

※本文中のガイドラインのページ番号は、上記PDF(再改訂版)の本文ページ表記です。